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争族予防

争族になりやすいパターン

皆様のなかに、相続争い(「争族」と言いかえます)をしたいなんて思っている方はいませんよね。
誰もがもめずに相続を終わらせたいとお思いでしょう。
しかし、実際にはあなたが思っているよりも、もめてしまうのが相続なのです。

ここでは、私の経験をもとにして争族になりやすいパターンをご紹介いたします。
こちらを読んで頂き、あなたの相続が争族にならないように役立てて頂きたいのです。
それでは、争族になりやすいパターンをご紹介します。

1.相続人が相続財産を当てにしていると争族になりやすい

バブル経済がはじけて20年以上経ちました。マスコミは、この間を「失われた20年」という言葉で報道してきました。失われた20年というくらいですから、全般的に見れば、多くの方が厳しい経済状況を経験したであろうと想像できます。相続人になる方たちは、同じ親から生まれ同じ環境で育ったとしても、大人になり今は別々の生活をおくっています。経済的に豊かになった人もいれば、生活に困窮している人もいるでしょう。

更に、日本人はとても長生きです。2013年の厚生労働省の発表によると日本人の平均寿命は男性79.59歳、女性86.35歳です。まだまだ長い人生、これからの生活に対する不安から「もらえるものは少しでも多く欲しい」という気持ちの方も多いでしょう。

つまり、相続人のおかれた環境によっては、生活費のために親の財産を当てにしている人もいるということです。
そして、その権利の主張が争族につながることがあるのです。

2.部外者が争族を引き起こすこともある

亡くなった方が遺言書で財産分けについて意思表示をしていない時は、
相続人の間で話し合いにより財産分けを決めることになります。
そして、その相続人の範囲(法定相続人)は民法で決められています。
そのため、法定相続人以外はたとえ親族であっても遺産の分割協議には入れないはずなのです。

しかし、現実には相続人の配偶者などが横やりを入れてきます。
相続人が女性の場合は夫が、男性の場合は妻がアドバイスをしてしまうのです。悪く言えば、入れ知恵ですが。

また、これ以外にもよくある例としては、相続を経験した親戚や友人・知人からの横やりがあります。
「こうした方がいいよ。」「もっと言わないと損するよ。」「権利は平等なのだからちゃんと言わないと。」などなど。

実際に相続のご依頼を頂いた方々からお話を伺うと、
相続人のパートナーが原因でもめているケースが多いと感じています。
「まさか、娘の旦那があんなことを言ってくるとは」という気持ちにさせられる。
残念ながら相続の現場ではよくあることです。

3.相続財産のほとんどが自宅の土地建物で不公平感が募って争族につながる

不動産は共有や分割が難しい財産です。主な財産が自宅だけといった場合は、
自宅を相続しそこに住み続ける人が、他の相続人から自分の相続分に見合ったお金を要求される可能性が高くなります。

例えば、親と同居している長男と別居している次男の2人が相続人の場合に、長男が自宅を相続したら、
財産のほとんどを持って行かれた次男には不満が残ります。
そうなると、弟とはその不公平をお金で解決してもらうことになります。
つまり、兄は弟へ代償金を支払うことになるのです。

代償金を用意できればいいのですが、代償金を用意できないこともあります。
代償金が用意できない場合に、やむを得ず、兄弟で自宅を共有名義にすることも考えられます。
しかし、兄弟のどちらかが死亡し、その子供に共有持ち分が相続されてしまうと、どんどん共有者が増えてしまい、
問題が複雑化してしまいます。売却も簡単にできなくなってしまうおそれが生じてきます。

不動産は現金と違い、分割が難しい財産です。相続財産のほとんどが不動産の場合は、
それを相続する人としない人とでは、心情的に損得の感情が芽生えてしまいやすくなります。

その不公平感が争族を招くことにつながります。
現に、最高裁の統計では遺産のうち土地・建物の割合が大きいと、争いの比率も高くなっています。

〈遺産分割調停事件の遺産価額内訳〉

(最高裁「司法統計年報 平成23年、家事事件」より)
遺産の価額 件 数 比率% うち遺産に
土地建物あり
うち遺産に
土地建物なし
1,000万円以下 2,470 31.3 2,371 99
1,000万円超5,000万円以下 3,571 45.3 3,452 119
5,000万円超1億円以下 910 11.5 888 22
1億円超5億円以下 571 7.2 564 7
5億円超 41 0.5 39 2
算定不能等 329 4.2 313 16
合   計 7,892 100 7,627 265

4.子供や孫がおらず兄弟姉妹で争族になる

夫婦に子供や孫がいない場合は、配偶者と親が相続人になります。
親も死亡していれば、配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹が相続人となります。

特に兄弟姉妹が相続人となった場合、日常のお付き合いがあまりないと、譲り合いの気持ちも薄くなります。
そして、配偶者と兄弟姉妹との間で権利を主張しあうことになりがちです。
このような場合、配偶者の気苦労は大変なものです。

5.血縁の違いから争族になる

血縁の違いで争族になるというのはこういうケースです。
例えば、被相続人が男性で再婚した場合に、先妻の子と後妻の子との間でもめるケースです。
また、その男性に非嫡出子がいる場合も同様です。その男性と前妻が円満に離婚していて、
その後においてもそれぞれの人間関係が上手くいっているということはあまりないのではないでしょうか。
少なからず、感情的なしこりが残っているのではないでしょうか。こういうケースでは、
日頃は直接的な関わりを持ちませんから問題は起きません。
しかし、相続を契機として今までの感情的なしこりが顕在化することが多いのです。

日常のお付き合いがない者同士ですから話し合いもなかなか進みません。
こういったケースは、被相続人の思いを遺言書ではっきりと示しておかないと争族に発展しがちです。

6.生前贈与が争族を引き起こす

相続人のなかには、大学に行くため、親から他の相続人よりも多くのお金を出してもらった方もいます。
そして、今はそのおかげで高収入を得る地位の職業に就いていたりします。

そうすると、他の相続人にとっては、親の生前に既に相続した財産があるではないかという感情が起きます。
確かにこういう考え方は存在します。「特別受益」といい、被相続人から生前贈与を受けている場合に、
その特別受益を考慮して遺産分割をするのです。

ただし、その特別受益の額がいくらなのかでもめてしまうことがあるのです。
結果的に特定の相続人にだけ多くの財産をあげてしまうようなやり方では、
他の相続人が不満を抱く可能性が高くなります。

7.親の近くに住んでいた相続人をそうでない相続人が疑って争族になる

親の近くに住んでいて、生前は世話をよくしていた相続人と、
遠方に住んでいて親の世話をあまりしてこなかった(できなかった)相続人がいる場合に起きる問題です。
遠方に住んでいる相続人は親の生前の日常がわかりません。

「俺には、2,000万円くれると言っていたのに、全然お金が残っていないじゃないか。」

「父は、もっと財産があったはずなのに、なんでこれしかないの。」

などと世話をしていた相続人に言ってくることがあります。親の生前の日常を知らない相続人は、
親の世話をしていた相続人が親の財産を使い込んだり、隠したりしているのではないかと疑うときがあります。
この疑いの感情がもとで、争族につながることがあります。

ご紹介したパターン以外にも、もめる原因はあると思います。
「もめてしまったら裁判で決着をつける」と簡単に言う方がいますが、裁判は時間と費用がかかります。
そして、その間に家族の関係がボロボロになります。裁判は絶対に避けるべきです。
これらのパターンを参考にして、あなたの大事なご家族があなたの財産を巡ってもめないよう、
前もって対策を講じてほしいと思います

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